[鈴木千絵イラストコラム第10回] NBA HOME COURT/ NBAファッションの歴史
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[鈴木千絵イラストコラム第10回] NBA HOME COURT/ NBAファッションの歴史

芸術の秋〜、ファッションの秋〜、ということで、どんな服を着ていたっけ? とNBA選手のファッションの歴史をおさらいしてみたくなってしまった。


今やNBA選手といえば、ファッションにお金をふんだんに使い、着こなしも上手いというイメージ。1946年から始まったリーグ、古くはウォルト・フレイジャーの70年代ファッションから、イベント毎にモードを着るカーメロ・アンソニーまで、選手の私服の歴史を、年代を追って見てみよう。

60、70年代: 世のサイケデリック、ヒッピームーブメントでアメリカ全土も派手な花柄シャツが流行し、選手も長髪にして似たものを着ていたらしい。

ニューヨーク・ニックス、ウォルト・フレイジャー(現ニックス解説)は、高価ではないが仕立てたスーツ、整えたヒゲ、ボルサリーノハットで黒人のロールモデルとしてもファッションに気を使ったのだという。(※1)

80年代: 2m超えの選手が自分の気に入った服を探すのは至難のワザ。かろうじて金のネックレスでオシャレをアピールするくらいだ。そんなとき、88年に元アトランタ・ホークスのケビン・ウィリス(身長213cm)が、自分のファッションブランド『Willis & Walker』を設立した。現在も選手サイズのジーンズを供給している。

90年代: セルフブランディングに成功しているマイケル・ジョーダンの隙のないスーツ姿がファッションアイコンとなる。かたやデニス・ロッドマンのタトゥーとヘアカラーリングがリーグ内タトゥー解禁のような役割を果たしていた。(※2)。なぜか、オーストラリアの『Coogi』というブランドのド派手なセーターも流行。アンファニー・ハーダウェイのような輝いていたスターはさらに輝き、そうでない選手も解りやすいカラフルさと大きめサイズで、利便性から重宝されたのだろう。

利便性と言えば、チェックシャツ姿しか見かけないティム・ダンカンや、ポロシャツ姿しか見かけないジョン・ストックトンは、いかに試合以外のことを考えなくて済むのかを実践していたのかもしれない。

2000年代: ヒップホップファッションが黒人選手の定番に。『New Era』のキャップにドゥラグ、コーンロウ、首には大振りな宝石、バギージーンズという反体制ギャングスタファッションなのに、これさえ着ていれば間違いないという制服のような安心感もあった。『FUBU』、『カール・カナイ』などの黒人ファッションブランドで自分たちのアイデンティティが満たされたように思われた。当時からヨーロッパの選手はひと味違うオシャレなカジュアルファッション、ギャングスタの似合わないベテラン選手は『ヒューゴ・ボス』のスーツ、『ルイ・ヴィトン』の旅行バッグやバックパックに『グッチ』の靴を履いていた。

2005年: 前NBAコミッショナー、デイビッド・スターンによる服装規定が施行され、ビジネスカジュアル、ジャケット着用等が義務づけられた。選手がギャングスタイメージの強い服ばかりを着ることで、ビジネス的にも子供たちのお手本的にもマイナスになるのを恐れたためだ。オシャレに無頓着な選手には迷いが生じ、表現の自由を求める選手からは反発もあった。特にアレン・アイバーソンは、「外見で中身を変えることはできない。ヒップホップスタイルを犯罪と結びつけるのは人種差別」など、最後まで抵抗したが、仕方なくジャケットを持参していた(※3) 

2010年代: 伝統的で上質の服をカジュアルに着こなす、当時の黒人には珍しいアイビールックやプレッピーのおぼっちゃまファッションが出始める。特に黒縁メガネが大流行。もう、黒人のアイデンティティとは? などと考えるファッションは少なくなり、パリやミラノのモードをいち早く取り入れ、逆に自分たちのものにしてしまう風潮になった。(※4)


2014年~: スタイリストを雇い、各選手センスを競い合うことで、NBA全体のイメージもアップしている。プレーオフ試合後の記者会見場はまるでランウェイ状態。オクラホマ、マイアミ、ニューヨーク、ロサンゼルスのクリッパー方面でファッション戦争が勃発している。『ヴィヴィアン・ウエストウッド』や『マーク・ジェイコブス』等、一昔前なら手を出さなかったブランドもアスリートのクローゼットに並ぶこととなった。ロサンゼルス・レイカーズニック・ヤングも『ジャンニ・ベルサーチ』を着こなせるよう、努力中なのだった。

今回のイラストコラムが最終回です。今までおつきあいいただき、本当にありがとうございました!!

※1:  フレイジャーが被っていた帽子が、当時大ヒットした映画『俺たちに明日はない』 (Bonnie and Clyde ) のウォーレン・ベイティ演じるクライド役の被っている帽子と似ていたことから、あだ名がクライド・フレイジャーとなる。今でもヒョウ柄コートは普通に着こなす。

※2:  ロッドマンは、サンアントニオ・スパーズ時代、ファッションセンスを含め、その後の活動に影響を与えた歌手のマドンナを、スパーズの移動バスに乗せ、風紀を乱したとチームからひんしゅくを買うこともあった。

※3:  アイバーソンは服装規定後も頑にバギージーンズとオーバーサイズのTシャツを着ていたが、龍の刺繍入りブルゾンではなく、次第にテーラードジャケットを着るようになった。

※4: アンドリュー・ウィギンズの花柄ドラフトスーツなどでNBAに貢献している、『Waraire Boswell』という身長2mのデザイナーにスーツを仕立ててもらうことや、『ジバンシー』や『カルバン・クライン』に大きいサイズを作らせることで、選手たちの服の選択肢を増やし、パーフェクトな肉体が服を着ることでそれらのブランド価値も上げた。

文&イラスト:鈴木千絵  Twitter: @Chie3 http://chiesuzuki.net


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