[コラム] FIBA W杯MVPに輝いたK・アービングの

[コラム] FIBA W杯MVPに輝いたK・アービングの"特別な才能"

つくづく「持っている」男である。FIBAバスケットボール・ワールドカップが終わった今、改めてそう思わざるを得ない。


日本時間9月15日早朝、セルビアとのW杯決勝でアメリカは大会2連覇、通算5度目の優勝を成し遂げた。129-92という大差での勝利に導いたのは、チームで下から3番目に若い、弱冠22歳のカイリー・アービング(クリーブランド・キャバリアーズ)だった。

アービングは、決勝でゲームハイの26点を叩き出しただけでなく、準決勝のリトアニア戦でもゲームハイの18点をマークした。最も大事なこの2試合で活躍したことが評価され、大会MVP及びオールスター5(大会ベスト5)に選出された。

通常、MVPはチームのリーディングスコアラーが選ばれることが多い。だが、アービングの大会を通じての成績は9試合の出場で平均12.1点と、アメリカ代表の中でも5番目の成績だった。最後の2試合以外にアービングがトップスコアラーになった試合はなく、ほかの選手がMVPに選ばれていても決しておかしくなかった。

もちろん、チームトップの平均3.6アシスト、23本中14本(60.9%=大会2位)を成功させた3ポイントシュートなど、MVPにふさわしい成績を残したのは確かだ。

それでも、チームのトップスコアラーとなったジェイムス・ハーデン(14.2点)、大会ベスト5にも選ばれたケネス・ファリード、チームトップかつ大会3位の2.1ブロックをマークしたアンソニー・デイビスなど、優勝したアメリカ代表にはMVP級の選手が何人もいた。

そんななか、なぜアービングがMVPに選ばれたのか?

それはやはり、準決勝、決勝という大会の最も重要な舞台で、誰よりも輝いたからにほかならない。そして、そうした大事な試合で真価を発揮できる点こそが、この男の特別な才能なのだと思う。

アービングは、NBA.comの取材に対してこう語っている。

「勝つために必要なこと、世界で最高のプレーをしようとしている。僕がやりたいこと、やるべきことはそれだと思っている。クリーブランドに帰っても同じ気持ちで臨むつもりだ。自分らしく、とにかく毎日ハードに仕事に励み、自分に対する自信を構築する。それが、なりたい自分を作り上げるんだ」。


今回のMVP受賞で真っ先に思い浮かんだのは、昨季のNBAオールスターゲームにおけるアービングの活躍だった。

そのときも、今回のW杯と同様、アービングはさほど注目を浴びていなかったにもかかわらず、いざ試合が始まると勝負所でゲームを支配し、並み居るスーパースターを押しのけてMVPをさらっていった。

ちなみに、NBAオールスターゲームとW杯(世界選手権含む)という、バスケットボール界屈指の大舞台の両方でMVPを受賞したのは、アービングのほかにシャキール・オニール(1994年世界選手権と2000、2004、2009年NBAオールスター)とケビン・デュラント(2010年世界選手権と2012年NBAオールスター)しかいない。

アービングは今回のW杯を通じて、チームの中心的存在というわけではなかった。むしろ、より注目を集めたのは、同じポイントガードであり、今大会で本格復帰を果たしたデリック・ローズのほうだったろう。

NBA全体でみても、アービングはコ―ビー・ブライアントやレブロン・ジェイムスのような、圧倒的な存在感を放つ選手とは言えない。見た目も発言もプレースタイルも、どちらかといえば地味な選手の部類に入る。それでもなぜか、ここぞという場面で誰よりも輝いてしまう。それは決して狙ってできるものではない。

きっと、そういう星の下に生まれてきたのだろう。そうとしか思えない特別な才能が備わっているということを、アービングはこのW杯で証明したのではないだろうか。

文:及川卓磨(NBA.com日本版 編集長) Twitter: @oitaku


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